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びんリユース事例紹介

男山株式会社

地元で消費したびんを地元で回収・再使用
「みんなのマイボトルメンバー制度」

北海道旭川の名水で醸す伝統の地酒「男山」。その酒蔵として全国的に知られる男山株式会社では、地元・大雪山系で作られた仕込み水の無料開放や、道内最大級のカタクリ原生花園がある男山自然公園の管理運営、年1回2月に開催される酒蔵開放のイベントなど、地域に根差した活動を精力的に行っています。

また、2021年7月よりリターナブルびんを回収するための「みんなのマイボトルメンバー制度」を開始。この制度は、丸正の茶色もしくは緑色の一升びん(1.8L)・Rマーク720mlびんを対象として、回収場所の男山酒造り資料館で配布されているメンバーカード(ポイントカード)に、持ち込んだ空きびんと交換でポイントが加算されるもので、一定数ポイントが貯まると、男山商品と交換できる仕組みになっています。リターナブルびん回収の新たな「場」を提供することで、リユースの見える化と地域資源循環に取り組んできて2年。今回は、男山株式会社の山崎 五良 取締役と総務部企画課主任 金森 徹諭さんに、その成果とこれからの展望について伺いました。

活動を通じてつながる地域の
3R推進のモデルケースを目指す

男山

写真左から総務部 企画課 主任 金森 徹諭 氏、取締役 山崎 五良 氏

まず「みんなのマイボトルメンバー制度」は、地域と一体となったびんリユースシステムとして、これまでも多くのメディアに取り上げられてきましたが、昨年末からのびん不足の状況もあり、NHKや日本経済新聞、北海道内発行の雑誌など、新たにメディアに取り上げていただく機会がありました。全国的にも注目される事業になってきており、初めての方はもちろん、いわゆる常連さんも含めて、リターナブルびんを持ち込む市民は、日々増えています。この2年間で回収されたびんは2万本以上、一部の市民の方には慣れ親しんでいただいているようです。行政や取引先などの反応はまだないですが、今後、道内でシェアの高い北海道新聞にも掲載予定があるので反響を期待しています。

現在、道内では自社で洗びんして720mlのリターナブルびん(Rびん)を利用している酒造メーカーは当社のみです。一昔前は、酒販店に一升びんの空きびんを持ち込むと、引き換えで10円と交換することができましたが、酒販店そのものが少なくなっており、リターナブルびん回収の場は年々減少しています。また、コスト面やその手間から、自社洗びんしない蔵元があるのが現状です。環境への配慮が欠かせなくなってきた今日、この制度を通して、びんリユースのモデルケースになることを目標に活動を続けていきたいと思っています。
ポイントカード

「みんなのマイボトルメンバー制度」のポイントカード

仕込み水の水汲み場での告知

仕込み水の水汲み場での告知


さらなる普及に向けて積極的な制度の更新

改めて「みんなのマイボトルメンバー制度」でのポイント内訳を説明させていただくと、丸正の一升びん(1.8L)の茶色と緑色、Rマーク720mlびんの茶色と緑色各1本につき1ポイント、男山を含む道内の酒造メーカー商品には倍の2ポイントが加算されます。ただし、割れていたり、変色していたりしているなどリユースができない状態のものは対象外となります。ちなみにポイントはつきませんが、会社では再使用しない透明・黒・青などの空きびんも、持ち込まれれば回収しています。

より多くの方にご利用いただくため、2023年4月より制度を更新しました。従来、カード1枚(36ポイント)を貯めると男山の720mlびん商品1本との交換でしたが、これを2枚貯めると男山の一升びん(1.8L)商品1本と交換できるようにしました。容量としてもこちらの方がお得なので、やはりお酒好きの方は一升びん(1.8L)との交換が多いですね。概ね好評をいただいています。

また7月からは、商品との交換のみではなく、カード1枚で500円とも交換できる特典を追加しました。地元の小学校から課外授業として会社見学の依頼が度々あるので、小学生も対象となる景品を検討した結果です。まだ、小学生のポイント交換の実績はありませんが、お金をそのままお渡しするのも少々味気がないので、男山酒造り資料館の売店で販売している缶バッジと一緒に交換する予定です。これにより普段、次代を担う子供たちにも本事業に参加できる機会が生まれ、子供たちを通して、より多くの人にガラスびんがリユースできることを知ってもらい、資源循環意識の向上と行動に繋がってほしいと考えています。家族間の話題から認知が広まり、世代を問わず、より多くの方にメンバーになっていただき、ともに資源を守る活動を楽しんでいただければ幸いです。

「みんなのマイボトルメンバー制度」更新のお知らせ
https://www.otokoyama.com/blog/notice/2459

男山酒造り資料館入口

持ち込まれたびんを回収する男山酒造り資料館の入り口

びんの保管場所

持ち込まれたびんの保管場所


不足するリターナブルびん、今後の課題に目を向ける

先日、この制度を知った旭川市外の酒販店より問い合わせがありました。びん商が回収できない店舗であるらしく、当社への持ち込みを希望していましたが、遠方からの車輌での搬送はCO2排出の観点から、この活動の主旨には合わないので、当社への持ち込みだけのために来ていただくことはお断りし、何か別の用事で旭川市に来る際、ついでに持ってきていただけるなら回収します、と先方にお伝えしました。

一方でリターナブルびん、特にR720mlびんの不足は、日々切実なものとなってきています。前回の取材でもお話しした通り、「みんなのマイボトルメンバー制度」は、あくまでびんリユースの習慣化に向け、地元に新たな回収の「場」を提供することに主眼を置いており、回収本数の目標などは具体的に定めていませんが、社員からの要望もあり、従来行っていた社員からの回収を最近復活させ、制度の対象としました。

男山の回収びん使用比率は90%以上、一升びん(1.8L)はほぼ100%リターナブルびんを使用しています。比べて、720mlびんの回収びん使用比率は10%程度。720mlびんは種類が多様で規格もさまざまです。また、R720mlびんを使用している酒造メーカーが少ないこともあり、北海道内のみでの入手は非常に困難な状況です。720mlのリターナブルびん回収率を向上させるには、まずR720mlびんの認知の底上げと、丸正の一升びん(1.8L)のように規格の統一が必要であると考えます。

日本酒の歴史を支えてきたガラスびん
改めてその貴重さを見直す

北海道内には製びんメーカーがないため、回収してリユースすることが経済的にも、環境的にも最も効率が良いと言えます。日本酒の繊細な味わいや個性などは、衛生品質面にも優れたガラスびんによって、その歴史を支えられてきました。リターナブル容器としての順応性も高く、資源の節約・GHG(温室効果ガス)排出量の削減も可能となるリターナブルびんが、再使用されることなく、ただ捨てられてしまうのはやはりもったいない。「もったいない」はこの制度の原点でもあるので、その精神を忘れず、地元の方々にご協力いただきながら、今後もガラスびんのリユースに力を入れていきたいと思っています。
男山株式会社 社屋

男山株式会社 社屋

 男山酒造り資料館

男山酒造り資料館


男山株式会社

〒079-8412 北海道旭川市永山2条7丁目1番33号
TEL:0166-48-1931
FAX:0166-48-1910

https://www.otokoyama.com