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検討会・シンポジウム

第7回 我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会

開催日時 2012年3月16日(金) 10:00〜12:00
開催場所 大手町サンスカイルーム 24階 E室
(東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル)

検討会会場
検討会 会場

 びんリユースシステムの検討会の第7回目が開催されました。
 今回は、「平成23年度びんリユースシステム構築に向けた実証事業」に認定された4事業の成果報告が行われました。


検討会の内容

◎ 平成23年度びんリユースシステム構築に向けた実証事業 成果報告

1. 東日本復興支援「郡山市容器リユースモデル実証事業」

 郡山市のごみ減量、と震災復興を目的に、立ち上げた、郡山市容器リユース推進協議会が主体となって、720mlRびんの利用を促進していく取り組み。
 郡山モデルと呼ばれるRびん利用促進キャンペーンを実施した結果、Rびんの流通量・回収量が増加し、キャンペーンを理解してくれた消費者ほど、Rびん入りの日本酒を買う傾向にあった。ただ、今回の事業では、販売時の告知と、資源回収事業者への働きかけは有りましたが、市町村から市民への告知は実施しなかった。回収のメインとなる市町村からの啓発が今後の課題。

2. 丸正900mlびんのリユースシステム構築事業

 小売事業者の(株)やまやグループと、びん商の吉川商店との連携による、「丸正900mlびん」のリユースを実施。中容量P箱を使用したクローズドなリユースの確立と、各関連事業主体へ、びんリユースのための要因のヒアリングを実施した。実証事業期間中に56,550本の丸正900mlびんの回収を実現した。今後の課題は、消費者からの空きびん返却についての認知度の低さ。びん返却量が月によって変動し、タイミングによっては商品出荷に対して洗いびんを提供できない場合も考えられるので、販売、返却、回収がうまく連動していくような調整が必要。

3. 「十万馬力新宿サイダー」開発サポート事業

 新宿区商店会連合会とびん再使用ネットワークが連携し、地域限定のリユースびん商品「新宿サイダー」を開発・販売。新しい地域リユース形を模索するとともに、商店会の環境取り組みの強化、新宿区内の学生、地域住民のアイデンティティの醸成、環境意識の向上に取り組んだ。新宿区高田馬場で生まれた「鉄腕アトム」をロゴにしたRドロップスUと地域通貨「アトム通貨」は話題性が高く、コミュニケーションツールのひとつとしてリユースの良さを分かってもらえる良い機会を作ることができた。今後は、「環境に良いから」という観点だけでなく、地域通貨との連動などのリユースの新しい魅力に期待し、この取り組みを全国的に広げていきたい。

4. 九州圏におけるびんのリユースシステム構築事業

 九州びん商が主体のRびん推進九州プロジェクトによるびんリユース促進事業。九州圏で消費量の多い900mlびんを中心に、びんリユースの実態を把握し、リユースシステム構築に向けた合意形成が大きな目的。チラシの配布や、協力店舗への「Rびん応援店ちょうちん」の配付等を行った。各主体へのヒアリングにより、各主体の実態とそれぞれが抱える問題点を把握できた。今後は、Rびん推進実施地域の連絡調整窓口を創り、リユースびんに特化した意見交換の場を設置。リユースびんの利用状況を調査しつつ、この取り組みを南九州へも展開し、Rびん採用メーカーを増やしていきたい。


◎ びんリユースシステムの成功事例集

 新たにびんリユースシステム構築を検討する関係者に対する情報提供を目的に、空きびんの回収方法、洗浄・再充填の仕組み等のシステム運用面と、現場の工夫や担当者の声をまとめた事例集が、環境省により策定されています。


 検討会の最後に、環境省リサイクル推進室長 森下氏は、これまでの検討会を振り返って、以下のようにコメント。


 「本日はお忙しい中ありがとうございます。闊達な議論と、実証事業の成果につきまして非常に丁寧な説明、ありがとうございました。少しずつですが、課題も含めていろいろと新しいことが出てきているように感じます。来年度も引き続き力を入れていきたいと思っています。
 現在、“第4次環境基本計画”がパブリックコメントに出されていますけれども、その中で2つのR、すなわち“リデュース”と“リユース”を強化していかなければならないと言われています。今後は、この環境基本計画の改訂を受け、“循環型社会推進基本計画の改訂”、さらには“容器包装リサイクル法の見直し”と、いろいろなシーンが出てきます。その中で、“びんリユース”をどう進めていくか、しっかりとした議論をいただいて、はっきりとした位置づけをしていきたいと思っています。ぜひそのためにも、また引き続きご検討いただきまして、いろいろな知恵をインプットいただければありがたいと思います。
 びんリユースの仕組みですが、これは日本人がこれまで生み出してきた知恵の一つだと感じています。いわば“日本の財産”と、思っています。私自身、リユースびんを使うことは、非常にカッコいいことでもあると思います。“Cool Japan”という言葉もありますけど、これはその一つじゃないかとも思っていて、これから大きな社会の流れになるような気もしてします。この取り組みを始めてから、いろんなところでの反響を耳にします。新たなところで新しい取り組みができつつあるという話も聞いています。そういったところと連携していきながら、今の流れを大きな流れに発展し、太い流れにしていきたいと思っていますので、みなさま、今後もどうぞよろしくお願いいたします。」


 今後のスケジュールとしては、「東北復興に向けた地域循環資源徹底利用促進事業」の一環で、東北地域を中心に使用済みびんの回収・リユースシステムの構築に伴う実証事業を行う予定。
 また、「東北以外の地域の実証事業の実施」「成功事例が同種の事業者に波及しない理由の調査、検討」「今後のびんリユースの拡大のため、びんリユースが成立する可能性の高い地域の洗い出し」も進めていく予定です。