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リターナブルびん市場解説

日本酒造組合中央会による1.8Lびん(一升びん)再使用率向上の取り組み

 1.8Lびん(一升びん)は、日本独自の共通規格びんで、リユースびんの代表格として、酒類をはじめとするさまざまな用途で使用されています。

 しかし容器の多様化や、販売形態の変化、消費者の意識・ライフスタイルの変化などにより、1.8Lびんの需要は減少。また、回収率も年々低下しています。

 そのため、日本酒造組合中央会(清酒・単式蒸留焼酎・みりん二種の業界団体)では、1.8Lびんのリユースシステムを維持し、再使用率向上のための方策を検討することを目的として、「1.8Lびん(一升びん)の再使用率向上策の調査研究」を平成26年度から実施しています。

平成28年度の調査研究

(1)自治体事例調査と分別回収の普及・拡大、品質向上に向けた検討

 平成27年度に実施した自治体アンケート調査の回答結果から、1.8Lびんの回収量が多い自治体の現地調査・ヒアリング調査を実施し、自治体回収の普及方策を検討しました。

 (対象:仙台市、八王子市、秋田市、勝浦市(千葉県)、安芸市(高知県))

(2)日本酒メーカーへのヒアリング調査

 自社洗びんを行っている酒造メーカー7社へのヒアリング調査を実施し、課題の整理を行いました。

(3)ラベルメーカー等のヒアリング調査

 ラベル印刷のシェアが大きい会社、ラベル用の糊の製造会社にヒアリングを行いました。

(4)ステークホルダー会議の開催

 1.8Lびんのリユースに関する問題の構造を共有し、消費者を含む関係者が一堂に会して話し合う場として、ステークホルダー会議を2回開催しました。

  第1回(仙台) 平成28年12月15日(木)

  第2回(東京) 平成29年2月15日(水)

(5)平成27年度「1.8Lびんの再使用率向上策の調査研究」U概要版の作成

 前年度の調査研究の概要版を作成しました。

(6)びんリユースに関する情報提供

 平成26〜28年度の調査結果を整理し、1.8Lびんに関する認知度を向上させるために、情報発信を行いました。

(7)検討会の開催

 第1回 平成28年9月6日(火) … 調査の実施についての検討・助言

 第2回 平成29年3月13日(月) … 平成28年度調査研究の成果まとめについて

平成27年度の調査研究

(1)1.8Lびんの地域別・季節別の需要、発生分析

 推計の結果、1.8Lびんの需要がもっとも多い地域は九州、1.8Lびんの発生量がもっとも多い地域は関東であることが分かりました。1.8Lびんの再使用量は日本酒の仕込み期間である秋から冬にかけて増加し、2月がピークとなっています。

(2)自治体における1.8Lびん回収の実態調査

 全国の自治体を対象にアンケート調査を実施しました。(回答数1,044件)

 リターナブルびんを“生きびん”として分別収集している市区町村は14%、収集後に選別・抜き取りを行っている市区町村も含めると、41%の市区町村でリターナブルびんの回収が行われていることが分かりました。主な回収対象は、1.8Lびん(93%)とビールびん(96%)となっています。

 1.8Lびんの回収率・再使用率向上のためには、ラベルへの表示など、PRや周知・啓発が必要であるといった意見が寄せられました。

(3)剥がれにくいラベルに関する調査

 洗びん工程で剥がれにくいラベルが使用されていることが、1.8Lびんの再使用を妨げる要因となっていることから、現在使用されているラベルの種類や、洗びん工程で剥がれやすいラベルの仕様について検討を行いました。

(4)ステークホルダー会議の開催

 平成28年3月にステークホルダー会議を開催しました。

(5)平成26年度「1.8Lびんの再使用率向上策の調査研究」概要版の作成

 前年度の調査研究の概要版を作成しました。

(6)検討会の開催

平成26年度の調査研究

(1)消費者意識調査

 インターネットで一升びんについての消費者アンケート調査を実施しました。(回答数1,000件)

 若い世代では一升びんがリユースびんであることの認知度が低いこと、処分方法としては自治体の分別収集に出している人が多いことなどが明らかになりました。

(2)酒造メーカーアンケート調査

 全国の酒造メーカーへアンケート調査を実施しました。(回答数825件)

 容器別出荷量では日本酒・焼酎ともに紙パックが最も多くなっていることや、P箱を使わず段ボールで出荷されている割合が3割近くに達していることなどが明らかになりました。

 また、回収率・再使用率低下の理由として、「回収びんの品質に問題がある」「ラベルが剥がれにくい」という声が多くあがりました。回収びんに新びん同様の品質が求められるようになってきたことや、洗びん時に剥がれにくいラベルが増えていることなどが、要因になっていると考えられます。

(3)関係者ヒアリング調査

 酒造メーカー、びん商、スーパー、酒類販売業者、P箱レンタル業者などへのヒアリング調査を実施しました。

 剥がれにくいラベルの貼られたびんのほか、特殊加工されたびんや需要の少ない色のびんなども、再使用しにくいことが指摘されています。また、1.8Lびんの回収・流通に必要なP箱が不足していることも深刻な問題です。

(4)検討会の開催