第5回 我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会
開催日時 | 2011年9月26日(月) 10:00〜12:00 |
開催場所 | 大手町サンスカイルーム 24階 E室 (東京都千代田区 大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル) |
関係者意見交換
検討会 会場
飲料用のびん等のリユースについて、回収・再使用に係るシステムの維持、および新たなびんリユースシステムの構築について、第5回目の検討会が行われました。
今回は、前4回の検討会で提起された、びんリユースシステムの現状および課題点について、システムを成立させるための条件や、今後の展開方策等の取りまとめ案の説明が環境省から行われ、関係団体、事業者、有識者などさまざまな観点から意見交換が行われました。座長は、前回に引き続き、安井至氏(製品評価技術基盤機構[NITE]理事長)。
以下、関係各者からのご意見。
- ・ガラスびんリサイクル促進協議会 事務局長 幸 氏
- 「実証データは、びん同士ではなく、他のワンウェイ容器とリユースびんの比較をしていただきたいと思います。また、各地域のリユースシステムの取り組みをどのように支援していくかが大事と思います。目指すべきリユースシステムを、現在の社会形成を含めて検討を進めていくべきです。特に、リユースびん製品の消費促進が重要と思います。」
- ・全国びん商連合会 会長 吉川 氏
- 「国内だけでなく、海外事例についても取り上げていただきたいと思います。特に税金のかけ方が日本とは根本的に異なり、日本の仕組みはワンウェイ容器を有利にしていて、この仕組みを何とかしないと、リユースびんの将来は無いように思います。例えば韓国は、デポジット制で、リユースびんをPRするコマーシャルもあり、日本国内とは環境が全く異なっています。」
- ・関東学院大学 教授 織 氏
- 「ヨーロッパを見ると、リユース容器の普及については、システムよりも国民性によるところが大きいです。例えばドイツは、『ビールはびんで飲むべきもの』という意識が定着していて、地ビール産業などがそれを後押ししています。容器が傷ついてもあまり気にせず、逆にリユースされていて環境に良いという意見が多いです。このように、検討課題の中では消費者意識が重要です。びんが持つ機能と意義をもっと強調して、長期的に事業者側からアピールしていかないと、土台は変わらないと思います。
また、デイリーユースのびんをどのようにリターナブルにまわしていくか。業務用と一般用の課題点の違いについて整理をお願いします。」 - ・早稲田大学環境総合研究センター 准教授 小野田 氏
- 「消費者への啓発も大切ですが、システムの中で中間処理をする事業者へのインセンティブを強調されても良いと思います。」
- ・追手門学院大学 准教授 今堀 氏
- 「びんリユースシステムは、何よりも『ごみを減らす』という部分が大きいと思います。長期的な視野で見た、びんリユースの有利点をアピールしてほしいです。」
- ・リユースソーシャルジャパン(株) 代表取締役 小沢 氏
- 「どこまで踏み込んで、全体のまとめを行うかが大事な点です。リユースシステムは、消費者を巻き込んで成立するものなので、消費者の参加をどう得るかが重要です。このまとめが、リユースシステムのプロモーションに影響があるような内容につながっていかないといけません。デポジット方式が良いように思われていますが、社会的な背景を見ていく必要があります。法体制を整えれば良いか、自治体が独自に制定した方が良いのか、ご検討いただきたいです。」
以上、関係各者の意見を踏まえ、次回までに取りまとめ案の修正が行われる予定です。
平成23年度びんリユースシステム構築に向けた実証事業を選定
平成23年度びんリユースシステム構築に向けた実証事業募集結果は、5件中4件が選定されました。
- 郡山市容器リユース推進協議会 (郡山市を中心に福島県全域)
- 株式会社吉川商店 (やまや店舗[全国28都府県])
- びん再使用ネットワーク (東京都新宿区)
- 九州硝子壜商業組合内Rびん推進九州プロジェクト (福岡地区)
びんリユースシステムの成功事例集についての検討
「びんリユースシステムの成功事例集」は、既存の成功事例を整理して取りまとめ、新たにびんリユースシステム構築を検討する関係者に対する情報提供を目的とするもので、ホームページ等で公開の予定です。
提出案については 「全体を通した傾向を明らかにする」 「現場の声をもっと取り入れる」 「規模や回収率などの共通データを抜き出す」等、さまざまな課題点が指摘されました。
次回以降の検討会に修正案提出の予定です。
コメント
司会進行役の安井氏は、検討会終了後、以下のようにコメント。
「今、ガラスびん(リユースびん)が絶滅危惧種に属するようなことになっています。今絶滅すると、30年、40年先に復活することができない。その時どうするのか、ゴール地点を考えなければいけません。」
また、環境省森下室長は、全体のまとめとして、以下のようにコメント。
「今回の大きな話として、経済、社会のありかた、システムからの議論があります。循環基本計画、環境基本計画にキッチリと固めていかないといけないと思います。関係部署内でも話し合っていますが、これからもっとリデュース、リユースの重要性を織り込んでいかないといけません。ですが、リユースについて、まだ世の中に浸透していない現状があります。環境省でも現在、リユース産業の健全な育成などの検討会を立ち上げ、関連団体や事業者と一緒に進め、リユースの社会的認知を高めていこうとしています。
また、もう一つは、びんに限らず、将来はどういう分別の在り方になるかです。大きなテーマですが、将来の方向性についてちゃんと議論されるべきで、今はそういった局面に差し掛かっていると思われます。リデュース、リユースは、次回の容リ法見直しの中でも重要な部分になろうかと思います。私自身、リユース、リターナブルの取り組みは環境省としてもしつこく取り組んでいく問題と思っています。」
次回の検討会は、10月を予定。
また、11月14日には、福島県郡山市にて、びんリユース推進シンポジウム(仮称)が開催予定です。