LCA手法による容器間比較報告書 <改訂版> 2001年8月
容器間比較研究会(ガラスびんリサイクル促進協議会)
1.目的
LCA手法により素材ごとに異なる各容器間のライフサイクルにおいて発生する環境負荷をできるだけ公平な立場で比較検討する。
2.対象製品と機能、機能単位
対象製品:
ペットボトル(本体31.87g)、ワンウェイびん(本体190g)、リターナブルびん(本体198.5g)
アルミ缶(本体15.2g)、スチール3ピース缶(本体77.87g)、スチール2ピース缶(本体43.02g)
紙容器(本体18.48g)
仕様:
非炭酸飲料(清涼飲料)500ml 容器のみ評価
3.インベントリー範囲(リターナブルびんのみ掲載)
- [1]リターナブルびん製造・・・原材料の採掘・製造、製びん、流通、びん回収
- [2]キャップ製造
- [3]紙ラベル製造
- [4]リターナブルびん廃棄・・・再利用(びん、その他用途)、埋立(破砕、直接)
4.インベントリー分析容器間相対比較(環境負荷項目 一部抜粋)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
地球温暖化 | CO2(kg) | リターナブル (20回) |
リターナブル (5回) 紙容器 |
アルミ缶 PETボトル |
スチール缶 (2P) ワンウェイびん |
スチール缶 (3P) |
---|---|---|---|---|---|---|
大気汚染 | SOx(g) | 紙容器 | リターナブル (20回) リターナブル (5回) |
スチール缶 (2P) |
アルミ缶 スチール缶 (3P) |
ワンウェイびん PETボトル |
NOx(g) | リターナブル (20回) |
リターナブル (5回) 紙容器 |
アルミ缶 スチール缶 (2P) |
スチール缶 (3P) PETボトル ワンウェイびん |
||
水資源 | (g) | リターナブル (20回) リターナブル (5回) |
スチール缶 (2P) スチール缶 (3P) ワンウェイびん 紙容器 |
アルミ缶 | PETボトル | |
エネルギー 消費 |
(Kcal) | リターナブル (20回) リターナブル (5回) 紙容器 |
PETボトル アルミ缶 スチール缶 (2P) |
スチール缶 (3P) ワンウェイびん |
||
固形廃棄物 | (kg) | PETボトル リターナブル (20回) 紙容器 |
リターナブル (5回) アルミ缶 スチール缶 (2P) スチール缶 (3P) |
ワンウェイびん |
5.地球温暖化CO2排出量容器間比較
地球温暖化CO2排出量
6.輸送距離を変更した場合のCO2排出量試算結果
製品輸送距離100kmと500kmのCO2排出量比較
100kmから500kmに輸送距離が長くなると
*どの容器も全体的にCO2排出量は増加する
*リターナブルびんの優位性は小さくなるが、絶対的な環境負荷量の差はみられる
製品輸送距離100kmと500kmのCO2排出量
7.使用回数を変更した場合のCO2排出量試算結果
リターナブルびん使用回数を、5回(回収率80%)から2.5回(回収率60%)にするとCO2排出量は47%多くなるが、紙容器と同等、他の容器と比較して少ない。
リターナブルびん使用回数2.5回のCO2排出量
8.回収率の変化が環境負荷に与える影響
リターナブルびんの回収率を7つのパターンでシュミレーションを行った。
10%(1.11回使用)、20%(1.25回使用)、50%(2回使用)、60%(2.5回使用)、
80%(5回使用)、90%(10回使用)、95%(20回使用)
リターナブルびんの回収率が向上することによって、すべての環境負荷量は減少する。
回収率が10%や20%ではワンウェイびんとあまり差がなく、固形廃棄物においては逆に多くなることが確認された。
各容器(500ml)のライフサイクルにおける工程別CO2排出量(kg)
各容器(500ml)のライフサイクルにおける固形廃棄物排出量(kg)
9.製品の流通距離が環境負荷量に与える影響
片道500km(東京〜京都)と片道1000km(東京〜鹿児島)の流通距離による差について検討した。ただし他のワンウェイ容器との比較妥当性から、リターナブルびんも片道のみ試算している。
流通距離を長くすると全飲料容器における環境負荷量が全体的に増加する。
流通距離が長くなるとリターナブルびんの優位性は相対的に小さくなるが、絶対的な環境負荷量の差はみられる。
流通距離500kmでの各容器(500km)のライフサイクルにおける工程別CO2排出量(kg)
流通距離1000kmでの各容器(500km)のライフサイクルにおける工程別CO2排出量(kg)
10.まとめ(所見)
- [1]
- 容器を再使用(リユース)することは資源とエネルギーの節約に繋がり、CO2排出を削減することは確認できた。
- [2]
- 回収率(使用回数)が低いと、その環境優位性は小さくなりワンウェイびんとあまり差がなくなり、固形廃棄物の発生量においては、逆に多くなる結果も確認された。
- [3]
- 輸送距離が長くなると、その環境優位性は小さくなるが他の容器との絶対的な環境負荷量の差は確認できる。